AIツールの使い方

AIエージェントへの頼み方。いい感じで失敗しない設計プロンプト

AIに頼んだのに、結局自分で直している。その原因は、最初の注文がぼんやりしていることです。

AIに頼めば早く終わるはずなのに、出てきたものを見て「まあ、違うんだよな」と手が止まる。結局、自分で直している。そんな使い方になっていませんか。

これは、AIが使えないという話ではありません。多くの場合、最初の注文がぼんやりしています。

初対面のシェフに「なんか美味しくて、健康的で、映えて、安くて、でも高級感もあるやつ」と注文しているような状態です。シェフは頑張って作ります。でも、何を優先すべきかが分からないので、出てくる料理は平均的な「それっぽいもの」になります。

AIエージェントも同じです。「いい感じにして」では、AIはそれっぽい平均を出します。仕事で使える形に近づけたいなら、AIにセンスを丸投げするのではなく、悩みの背景、目的、読者、参考にしたいもの、避けたいもの、判断してほしいことを渡します。

ぼんやりした答えになる原因

AIの答えがぼんやりする原因は、能力不足ではなく、判断材料の不足です。

たとえば、Webサイト制作でよくある頼み方はこうです。

いい感じのトップページを作ってください。

この文だけでも、AIは何かを作ります。見出し、説明文、ボタン、カード。見た目はそれなりに整うかもしれません。

でも、AIは次のことを判断できません。

  • 誰に見せるページなのか
  • 読者は何に不安を持っているのか
  • 最初に安心させたいのか、すぐ登録させたいのか
  • 参考にしたいサイトはあるのか
  • どこは真似したくないのか
  • 最後に何を押してほしいのか

これは、駅前でタクシーに乗って「いい感じの場所まで」と言うようなものです。運転手さんがどれだけ上手でも、目的地が分からなければ遠回りになります。

AIへの指示のコツでも書いた通り、AIは頭の中を勝手には読めません。自分では分かっているつもりの前提ほど、最初に言葉にして渡す必要があります。

もう一つの原因は、AIに「作業」だけを頼んでいることです。

トップページを作って、文章を書いて、ボタンを置いて。これだけだと、AIは作業者として動きます。

でも本当にほしいのは、ただの作業ではないはずです。読者が安心する順番。押し売りに見えない言葉。スマホで読みやすい構成。次の記事やコミュニティに自然に進む流れ。こうした設計まで考えてほしいはずです。

その場合は、AIに「作って」だけでは足りません。考える役割まで渡す必要があります。

AIに下書きたたき台を出す人が確認・直す事実を確かめる完成自信を持って渡すAIは下書き。確認と仕上げは人がやる

解消法は、目的地と判断基準を渡すこと

良い頼み方は、長い命令文を書くことではありません。AIが自分で考えるための地図を渡すことです。

地図に入れるのは、次の6つです。

  • 誰に見せるのか
  • その人は何に困っているのか
  • 見たあとに何をしてほしいのか
  • 参考にしたいサイトや文章は何か
  • 真似したくないものは何か
  • AIに代案まで出してほしいか

この6つがあると、AIは「何を作るか」だけでなく「なぜその形にするか」を考えやすくなります。

同じトップページ制作でも、こう頼むと変わります。

会社員向けに、AI副業の不安を減らすトップページを作りたいです。

読者は、AIに興味はあるけれど、怪しい案件、難しい用語、何から始めるか分からない状態に抵抗がある人です。

最初に安心感を出し、次に記事一覧を見せ、最後に無料コミュニティへ誘導したいです。

参考URLは https://example.com です。
参考にしたいのは、余白の使い方、見出しの読みやすさ、最初に目的が分かる構成です。

ただし、色、文章、画像、ブランド表現は真似しないでください。

いきなり実装せず、まずページ構成、読者の導線、ボタンの置き方、違和感が出そうな点を提案してください。

より良い構成がある場合は、こちらの案に遠慮せず代案を出してください。

この頼み方では、AIに「何を作るか」だけでなく、「なぜ作るか」も渡しています。

特に大事なのは、最後の一文です。

より良い構成がある場合は、代案を出してください。

この一文を入れると、AIが単なる作業員ではなく、設計者として動きやすくなります。こちらの言葉をそのまま形にするだけでなく、「この目的なら順番を変えた方がいい」「このボタンは早すぎる」といった提案が出やすくなります。

Webサイト制作で参考URLを渡す考え方は、AIエージェントでWebサイトを作る。最初に渡すプロンプトと設計の型にもまとめています。

AIの答え事実は自分で確認数字・名前・日付・出典言い回しは任せる読みにくいだけで済む

いい感じを分解すると、修正回数が減る

「いい感じ」は便利な言葉ですが、AIに渡すには大きすぎます。人間同士でも、いい感じの意味は人によって違います。

いい感じの中身を、もう少し小さく分けます。

  • 読みやすい
  • 信頼できる
  • 申し込みやすい
  • スマホで見やすい
  • 初心者でも怖くない
  • 売り込みに見えすぎない

これくらいまで分けると、AIは判断しやすくなります。

たとえば「初心者でも怖くないサイトにしたい」と伝えるなら、本文は専門用語を減らし、最初に安心感を置く構成になります。

「申し込みやすいサイトにしたい」と伝えるなら、ボタンの位置や登録後の説明が重要になります。

「売り込みに見えすぎないサイトにしたい」と伝えるなら、いきなり登録ボタンを押し出すより、記事や事例を先に読ませる構成が合うかもしれません。

AIは、言葉にされていない基準を勝手に選びます。その基準が合っていれば便利ですが、ズレると何度も修正することになります。

最初に「自分にとってのいい感じ」を分解して渡す。これだけで、AIとのやり取りはかなり変わります。

手元で試すなら、次のように言い換えます。

いい感じにしてください。

ではなく、こうです。

初めて見る人が、怪しいと思わずに読み進められる雰囲気にしてください。

専門用語は少なくし、最初に安心感を出してください。

ただし、ゆるすぎる印象にはしたくありません。仕事で使える内容だと分かるように、チェックリストと具体例を入れてください。

この違いは大きいです。

前者は雰囲気のお願いです。後者は判断基準です。

AIは、判断基準を渡されると、それに沿って構成や言葉を選びやすくなります。

手が止まる白紙・ひとりで抱える前に進むAIに下書きを任せる止まっていた時間が、動き出す

使う前に確認したい6点

AIエージェントにWebサイトや文章を頼む前に、次の6つだけ確認してください。

  • 何を作りたいのか
  • 誰に見せたいのか
  • 見た人に何をしてほしいのか
  • 参考にしたいものは何か
  • 真似したくないものは何か
  • AIに代案を出してほしいか

この6つが埋まらない時は、まだAIに作らせる前です。

先にAIへ、こう頼んでください。

まだ作らなくていいです。
私が作りたいものを整理するために、目的、読者、参考にすべきもの、避けるべきもの、完成後に確認する点を質問してください。

AIに作業させる前に、AIに質問させる。これも大事な使い方です。

ここでのポイントは、AIに「自分の代わりに考えさせる」のではなく、「考えるための材料を整理させる」ことです。

まだ自分でも目的がはっきりしていない時に、いきなり作らせるとズレます。先に質問させると、足りない情報が見えます。

たとえば、AIが次のように聞いてくれれば、かなり進めやすくなります。

  • 誰に見せるページですか
  • 読者は何に不安を持っていますか
  • 読み終えた人に何をしてほしいですか
  • 参考にしたいサイトはありますか
  • 真似したくない雰囲気はありますか
  • 完成後にどこを確認しますか

この質問に答えてから作らせると、最初の出力が変わります。

プロンプトという言葉がまだ少し分かりにくい人は、プロンプトってなに?を先に読むと入りやすいです。毎回ゼロから頼み文を考えるのが大変な時は、仕事で使えるAIへの依頼文テンプレ集も使えます。

そのまま使える改善プロンプト

最後に、いま自分がAIへ出している頼み方を改善するプロンプトを置いておきます。

これからAIに依頼する文章を作りたいです。

私の今の依頼文は以下です。

「◯◯」

この依頼文だと、AIが判断できない情報、曖昧な表現、出力がズレそうな点を指摘してください。

そのうえで、次の項目が入った依頼文に書き直してください。

1. 誰に向けたものか
2. 相手が感じている不安や悩み
3. 何を作りたいのか
4. 参考にしたいもの
5. 真似したくないもの
6. 完成後に確認するポイント
7. AIに代案を出してほしい範囲

いきなり完成案を作らず、まず改善した依頼文だけを出してください。

これは、Webサイト制作だけでなく、文章作成、資料作成、メール返信、SNS投稿にも使えます。

「いい感じにして」と言いたくなった時ほど、この型に戻ると使いやすいです。

AIは、雑な依頼にも一応答えます。

でも、雑な依頼から出てくるのは、だいたい平均的な「いい感じ」です。

本当に使えるものに近づけたいなら、AIにセンスを丸投げするより、目的地と判断基準を渡す。そこから一緒に直していく方が、仕事で使える形に近づきます。

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