AI副業の基礎
AIへの指示のコツ。頼み方を変えるだけで答えが変わる
「AIの答えがいまいち」と感じたら、能力ではなく頼み方を疑ってみてください。
AIに頼んでみたけれど、返ってきた答えがふわっとしていて、結局自分で書き直した。そんな経験はありませんか。多くの人がここで「AIってこの程度か」と離れてしまいます。でも、答えが薄いのはAIの能力のせいではなく、こちらの頼み方に余白があるからなことがほとんどです。
頼み方を少し変えるだけで、同じAIから返ってくる答えはまるで違うものになります。むずかしい知識も専門用語もいりません。考え方さえつかめば、明日から使えます。良い例と悪い例を並べながら、頼み方のどこを変えればいいのかを見ていきます。
なぜ同じAIなのに答えが変わるのか
AIは、こちらが書いた文章を手がかりに答えを組み立てます。手がかりが少なければ、AIは平均的で当たりさわりのない答えを返すしかありません。逆に手がかりが多ければ、その分こちらの欲しいものに近づきます。
たとえば、新しく入ったアルバイトに「店の紹介、書いといて」とだけ頼んだ場面を思い浮かべてください。相手は何を書けばいいか分からず、無難な一文を出してくるはずです。誰に向けて、どんな雰囲気で、どのくらいの長さで。それを伝えていないのだから当然です。
AIもまったく同じです。何も伝えなければ、無難なものしか返ってきません。指示のコツとは、つまり頼み方の引き継ぎ方なんです。
コツ1. 誰に向けたものかを伝える
最初に効くのが、読む相手を伝えることです。
悪い例はこうです。
お店の紹介文を書いて
良い例はこうです。
はじめて来るお客さんに向けて、お店の紹介文を書いて。やさしい言葉で、かまえずに読めるようにしてほしい
たった一行、相手を足しただけです。でも、AIが選ぶ言葉づかいがここで変わります。常連さん向けなのか、はじめての人向けなのか、忙しい経営者向けなのか。読む人が違えば、ちょうどいい言葉も変わるからです。
相手の伝え方は、肩書きだけでなく、その人がどんな気持ちでその文章を読むかまで足すと、さらに近づきます。たとえば「料金に不安を感じている人に向けて」「他のお店と迷っている人に向けて」と書くと、AIはその不安や迷いに答える書き出しを選びます。読む人の状況を一言そえる。それだけで、ありきたりな紹介文が、相手に話しかける文章に変わります。
現場でよく止まるのは、自分の頭の中では相手がはっきりしているのに、それを書かずに頼んでしまうところです。あなたが分かっていても、AIには見えていません。毎日その仕事をしている人ほど、当たり前すぎて言葉にしない部分が増えます。そこをあえて書き出すのが、上手な頼み方の第一歩です。最初の一文に「誰に」を足す。これだけで答えの精度がぐっと上がります。
コツ2. お手本か条件をひとつ添える
次に、形を決める条件をひとつ足します。
悪い例。
商品の説明文を書いて
良い例。
商品の説明文を、3行くらいで書いて。箇条書きにして、最後にひとことおすすめの理由をそえて
長さ、形、雰囲気。このうちどれかひとつでも先に伝えておくと、出てくる答えの形が整います。後から「もっと短く」「箇条書きにして」と直す手間が減るので、結果的にはやいんです。
いちばん手っ取り早いのは、お手本を見せることです。過去に自分で書いた文や、いいなと思った文章を貼って、こういう感じで書いてほしいと伝える。AIはその雰囲気をまねしてくれます。料理で、味の見本を一口食べてもらってから「これに寄せて」と頼むのと同じです。言葉で説明するより、現物を見せたほうが早く伝わります。
条件を足したときと足さないときで、答えがどう変わるかを見てみます。条件なしで頼むと、AIは長めの段落で、当たりさわりのない説明を返してきます。読めなくはないけれど、そのまま使うには整っていない。ここに「3行で、箇条書きで、最後におすすめ理由を一行」と足すと、見出しのついた短い文に変わり、手直しの量がぐっと減ります。先に枠を渡しておくと、AIはその枠の中で書いてくれる。それだけのことです。
ここで出てくる頼み方の文そのものを、専門の言葉でプロンプトと呼びます。身がまえる必要はありません。詳しくはプロンプトってなに?で1分でわかるようにまとめています。
コツ3. 一度で完成させようとしない
3つ目が、いちばん多くの人が見落とすところです。最初の答えで完成させようとしないこと。
AIの最初の答えは、清書ではなく下書きだと思ってください。受け取ったら、そのまま会話を続けて直していきます。
ここをもう少し短くして
この部分を、具体的な例を入れて書きなおして
もうちょっとやわらかい雰囲気で
こうやって会話で寄せていくと、一発で頼むより良いものに近づきます。AIは何度直しても嫌な顔をしません。むしろ、最初から完璧な一文を出そうと頼みを長くするより、ざっくり頼んで会話で削るほうがうまくいきます。
赤ペンを入れる場面を思い出してください。部下が出してきた原稿に、いきなり満点を求める人はいません。ここを直して、ここはこう、とやり取りしながら仕上げていく。AIとのやり取りも、それと同じ進め方でいいんです。
つまずきやすいところ
コツを知っても、最初はうまくいかないことがあります。よくある止まりどころを3つ挙げておきます。
一度にたくさん頼んでしまう
紹介文も、料金表も、お知らせも、全部まとめて、と頼むと、どれも中途半端になります。AIはひとつの頼みごとに集中したときがいちばん力を出します。ひとつの頼みごとに、ひとつの仕事。これくらいに分けたほうが、結局はやく終わります。長い一文の指示を書くより、短い頼みごとを順番に渡していくイメージです。
答えをそのまま使ってしまう
便利になればなるほど、確認をはしょりたくなります。でもAIは、もっともらしい間違いをさらっと混ぜてくることがあります。料金や営業時間、固有名詞、事実にかかわる部分は、人の目で見直す。この習慣だけは外さないでください。AIの答えは清書ではなく下調べだ、という前提で受け取ると、確認が自然と身につきます。詳しくはAIの答えを、うのみにしないコツにまとめています。
一発で完璧を求めて頼みを長くしすぎる
精度を上げようとして、最初の頼み文に条件をぎっしり詰め込む人がいます。けれど条件が多すぎると、AIはどれを優先していいか分からなくなり、かえってぼやけます。ざっくり頼んで、出てきた答えを見てから足りないところを足す。この順番のほうが、結局は早く欲しいものにたどり着きます。
それでも毎回ゼロから頼み文を考えるのが面倒なときは、場面ごとの頼み文をそのまま使えるようにした仕事で使えるAIへの依頼文テンプレ集が役に立ちます。貼って書き換えるだけなので、最初の一歩がぐっと軽くなります。
まとめ
誰に向けるかを伝える。条件かお手本をひとつ添える。会話で直していく。指示のコツは、この3つにほぼ集約されます。むずかしい設定も、覚えるべき呪文もありません。
次にAIを使うとき、いつもの頼み方に一行だけ足してみてください。読む相手を書く、でもいいし、3行で、と長さを足すでもいい。その一行で、返ってくる答えが変わるのを確かめてもらえたらと思います。