副業を始めたら、まず開業届とは限らず、先に確かめるのはその副業が事業所得を生ずべき事業に当たるかどうかです。AIで文章の仕事を受けた会社員が、開業届だけ出して取引の記録を残さずにいると、国税庁の通達の考え方では、帳簿書類の保存がないとして業務に係る雑所得の側に入る場合があります。2026年10月8日に保存した副業 開業届の検索上位10件を数えた結果と、通達と解説の基準を並べた判定表を、最初の見出しにまとめました。

副業を始めたら、まず開業届を出すもの?対象は事業を始めた人です

机の左手前に5本の線が入った台形の白い紙、右手前に白い封筒、奥の右寄りに緑の丸を置いた場面

副業を始めたこと自体ではなく、事業所得などを生ずべき事業を始めたかどうかで決まります。国税庁の個人事業の開業届出・廃業届出等手続のページは、手続の対象者を、新たに事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業の開始等をした方としています(国税庁 A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続)。

会社員が報酬を受けて行う副業は、事業所得なのか、業務に係る雑所得なのかを分けて考える必要があります。国税庁が2022年10月7日に改正した所得税基本通達35-2は、原稿やデザインの報酬、講演料などに係る所得を、事業所得と認められるものを除いて業務に係る雑所得の例に挙げています(所得税基本通達の一部改正 新旧対照表、同 解説)。開業届を出す前に、自分の副業がどちらの側に近いかを考えておくと、届出の要否も相談しやすくなると考えられます。

副業 開業届の検索上位10件は、何を扱っていたか

2026年10月8日にGoogleで副業 開業届と検索した上位10件を、タイトルと検索結果の抜粋に出てくる語で数えました。各ページの本文は開いていないので、本文の中でだけ触れているページは数に入っていません。

タイトルと抜粋に含まれる語件数順位
メリット4件2位、3位、6位、9位
出してない、出さない、罰則のいずれか4件2位、6位、7位、9位
事業所得2件1位、2位
雑所得1件7位
帳簿、記帳、300万、10%のいずれか0件なし
確定申告期限0件なし

タイトルと抜粋の範囲では、出すメリットや出さなかった時の話が目立ち、通達が判定の材料にしている帳簿書類や収入金額の話は見当たりませんでした。期限に触れた抜粋は5位の1件で、開業日から2ヵ月以内と書いていました。抜粋は申請書の期限として書いていますが、どの申請書の話かまでは抜粋だけでは分かりません。この形は、国税庁の青色申告制度のページにある青色申告承認申請書の期限と同じ形です。開業届そのものの期限は、3つめの見出しで国税庁のページどおりに確かめます。

事業所得か業務に係る雑所得かを考える判定表

通達35-2の注と、国税庁の解説に書かれた基準を、自分の副業に当てはめて書き込める形にしました。右の欄に、自分の場合を書き込んでください。

確かめること通達と解説に書かれていること自分の場合
取引を記録した帳簿書類を保存しているか保存がない場合は、業務に係る雑所得に該当することに留意する、とされています。ただし、その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除きます____
その副業の収入金額は、例年いくらか例えば、例年300万円以下で、主たる収入に対する割合が10%未満の場合は、帳簿書類を保存していても、収入金額が僅少と認められる場合に該当すると考えられる、と解説は書いています。例年は、概ね3年程度の期間です____
主たる収入に対する割合は、例年どのくらいか同上。この場合は、事業と認められるかどうかを個別に判断することになります____
例年赤字で、赤字を解消する取組をしていないか営利性が認められない場合に該当すると考えられ、個別に判断することになります。取組とは、収入を増やす、黒字にするための営業活動等のことです____
社会通念上、事業と称するに至る程度で行っているか営利性・有償性、継続性・反復性、自己の危険と計算における企画遂行性、費やした労力の程度、人的・物的設備、取引の目的、職歴・社会的地位・生活状況などの諸点を総合勘案して判定する、とされています____

会社員の場合、主たる収入に対する割合は、給与と比べて考えることになると考えられます。この表は、税務署や税理士に相談する時の材料をそろえるためのもので、書き込んだ結果で所得区分が決まるわけではありません。

開業届を出せば事業所得になる?通達が見るのは活動の程度と帳簿書類の保存です

机の手前中央に左右それぞれ6本の線が入った開いたノート、その右に斜めに置いた青いペン、奥の左端にオレンジ色の角の丸い四角を置いた場面

開業届を出したかどうかで決まるとは書かれていません。通達35-2の注は、事業所得と認められるかどうかを、その所得を得るための活動が社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する、としています。新旧対照表と解説の文章で判定の材料として挙げられているのは、活動の程度、帳簿書類の保存、収入金額、営利性で、開業届の提出は出てきません。

解説によると、その所得に係る取引を帳簿書類に記録し、記録した帳簿書類を保存している場合には、一般的に営利性、継続性、企画遂行性を有し、社会通念での判定において事業所得に区分される場合が多いと考えられる、とされています。反対に、帳簿に記録していない場合や、記録していても保存していない場合は、原則として事業所得に区分されないものと考えられる、と書かれています。

ここが、副業を始めたらまず開業届、という順番と食い違うところです。通達の考え方では、届出の紙より先に、取引の記録と保存が区分の判断に関わってきます。帳簿書類を保存していても、収入金額が僅少な場合や、営利性が認められない場合は、事業と認められるかどうかを個別に判断する、と解説は続けています。

記録は、事業所得の側だけの話でもありません。解説の注によると、令和2年度の税制改正で、業務に係る雑所得について、前々年の収入金額が300万円を超える場合には、取引に関する書類の保存が義務付けられました。厚生労働省の自営型テレワーカー向けの資料も、事業所得などを生ずべき業務を行う全ての方は、申告の必要がない方も含めて、業務の取引を帳簿に記録し一定期間保存することが所得税法で義務づけられている、と書いています(厚生労働省 自営型テレワーカーのための税務基礎知識 収入と経費を記録しよう)。

開業届はいつまでに、どこへ出す?期限はその年分の確定申告期限までです

壁に上部が青い白いカレンダーが掛かり、薄い青のます目が7列5段に並んで、3段目の左から5つめだけがオレンジ色になっている。机の右手前に緑の角の丸い四角を置いた場面

国税庁のページでは、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出する、とされています。提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、その翌日が期限です。確定申告期限について、国税庁の青色申告制度のページは翌年3月15日と書いています(国税庁 タックスアンサー 青色申告制度)。

出し方は、e-Taxソフトで作成してe-Taxで提出する方法のほか、書面で作成して持参または送付する方法もあります。e-Taxを初めて使う場合は、利用者識別番号の取得が必要です。提出先は、納税地を所轄する税務署長です。e-Taxで提出する場合は本人確認書類の提示や写しの添付は不要で、書面でマイナンバーを記載して出す場合は、その都度、本人確認書類の提示か写しの添付をお願いしている、と国税庁は案内しています。税務署の総合窓口の受付時間は、2026年10月1日から原則として9時から15時までとされています。

青色申告をしたい場合は、開業届とは別に青色申告承認申請書を出します。青色申告ができるのは、不動産所得、事業所得、山林所得のある方です。申請書の期限は、原則として青色申告の承認を受けようとする年の3月15日まで、その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合は、業務を開始した日から2か月以内です。検索結果の抜粋で見た2ヵ月以内は、この申請書の期限と同じ形で、開業届の期限とは別のものとして確かめます。

上位10件のうち4件のタイトルや抜粋に出てくる、出すメリットについては、国税庁のページから言えるのは青色申告の特典の条件までです。不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者が、正規の簿記の原則で記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して期限内に提出している場合は、原則として最高55万円、電子帳簿保存かe-Taxによる電子申告をしている場合は最高65万円の青色申告特別控除、それ以外の青色申告者は最高10万円の控除とされています。どれも事業所得などがあることが前提なので、開業届を出すかどうかより先に、最初の見出しの判定表に戻ることになります。出さなかった場合の罰則の有無は、この記事で使った国税庁のページには書かれていないため、ここでは扱いません。

出す前に国税庁のページで見る場所を、順に並べました。

  1. 個人事業の開業届出・廃業届出等手続のページの手続対象者の欄。事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業、という語を見ます。
  2. 同じページの提出時期の欄。その年分の確定申告期限まで、と、土・日曜日・祝日等の場合は翌日、の2点を見ます。
  3. 同じページの作成・提出方法と添付書類の欄。e-Taxか書面か、利用者識別番号、本人確認書類の扱いを見ます。
  4. 同じページの提出先の欄。自分の納税地を所轄する税務署を、税務署の所在地などを知りたい方のページで確かめます。
  5. 同じページの申請書様式・記載要領の欄。個人事業の開業・廃業等届出書のPDFと記載要領を開き、書く項目を見ます。
  6. 令和4年10月7日の所得税基本通達の一部改正の解説PDF。35-2の注、帳簿書類の保存、収入金額300万円、主たる収入に対する割合10%の箇所を見ます。
  7. タックスアンサーの青色申告制度のページの手続きの表。青色申告承認申請書の提出期限と、青色申告ができる所得の種類を見ます。

今日から何を記録する?取引ごとに年月日、相手、金額を残します

机の左に4本の線が入った白い紙が3枚ずらして重なり、中央右に画面と12個のボタンがある紺色の電卓、奥の右寄りに黄色の四角を置いた場面

取引の年月日、売上先や仕入先などの相手方の名称、金額、日々の売上げ・仕入れ・経費の金額を帳簿に記載します。厚生労働省の資料は、一つ一つの取引ごとではなく日々の合計金額をまとめて記載するなど、簡易な方法で記載してもよいことになっている、とし、表計算ソフトで収入と経費を分けて記入する方法や、会計ソフトを使う方法も挙げています。

次の表は、記入の形を示すための架空の例です。金額は仮の数字で、報酬の相場や目安ではありません。

年月日相手方内容収入金額源泉徴収された額経費残した書類
2026年10月3日取引先A記事原稿の作成10,000円1,021円請求書の控え、入金の記録
2026年10月5日販売店B作業用の資料の購入1,500円領収書
2026年10月9日取引先C画像のデザイン20,000円2,042円請求書の控え

源泉徴収の欄は、厚生労働省の資料にある、デザイン報酬や原稿料の場合は支払いの都度その金額の10.21%(100万円を超える場合のその超える部分は20.42%)が差し引かれる、という説明に沿って、仮の数字で計算しています。資料は、税金が差し引かれて振り込まれることがある、という書き方です。実際に差し引かれたかどうかと、その額は、入金額や、注文者から送られてくる場合がある支払調書の写しで確かめます。経費の欄に書いたものが必要経費になるかどうかは、この表では判断していません。

領収書は、宛名、取引の年月日、取引相手の名前、金額、品物の名前が正しく書かれているかを確かめ、日付順に保管します。もらえない場合は出金伝票や精算書を作って記入しておく、感熱紙はコピーを取っておく、と資料は勧めています。領収書を電子データで受け取った場合は、一定の要件を満たした形で保存する必要があります。

確定申告や住民税の申告が要るかどうかは、開業届とは別に考えます。会社員の副業の20万円の線は、副業の20万円と確定申告、住民税の申告を扱った記事で整理しています。

迷った時はどこで確かめる?判定表を持って税務署か税理士に相談します

机の奥の左に灰色の脚と黄色い傘の卓上ライト、手前中央に緑のフォルダ、右に画面が水色の紺色のスマートフォンを置いた場面

自分の副業がどの所得に当たるか、開業届を出すべきかで迷ったら、所轄の税務署か税理士に確かめます。国税庁の手続のページは、相談窓口として、国税に関するご相談についてのページを案内しています。

相談する時は、最初の見出しの判定表に書き込んだもの、今年の収入と経費の記録、請求書や領収書を手元にそろえておくと、活動の様子を説明しやすくなります。厚生労働省の資料は、会社員ではない自営型テレワーカーが仕事をして受け取るのは給与ではなく報酬だ、と書いています。仕事を雇用で受けているのか、業務委託で受けているのかで、受け取るお金の扱いが分かれる場合があります。契約の形が分からない人は、相談の前に契約書や発注のメールを見返しておくと、話を進めやすくなると考えられます。副業を始める前の確認全体は、副業を始める前のチェックリストにまとめています。何から手を付けるか迷っている人は、AI副業準備室のはじめての方へも見てください。

この記事は、国税庁と厚生労働省の公表資料に沿って考え方を整理したもので、個別の所得区分、税額、開業届の要否を判断するものではありません。

開業届を出せば、副業は事業所得になる?

そうとは限りません。通達35-2は、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するとしており、帳簿書類の保存がない場合は、収入金額が300万円を超え事業所得と認められる事実がある場合を除いて、業務に係る雑所得に該当することに留意する、としています。開業届の提出は、新旧対照表と解説の文章には判定の材料として出てきません。

開業届は、副業を始めてすぐに出さないといけない?

国税庁のページの提出時期は、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までです。解説記事で別の期限を見かけた場合は、国税庁のページで現在の提出時期を確かめ直します。青色申告承認申請書の期限は別にあり、その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合は、業務を開始した日から2か月以内です。

業務に係る雑所得なら、記録は残さなくていい?

前々年の収入金額が300万円を超える場合には、取引に関する書類の保存が義務付けられています。300万円以下でも、帳簿書類を保存しているかどうかは、事業所得かどうかを考える材料になります。厚生労働省の資料も、収入と経費をつけることは税金の計算のためだけでなく、仕事の効率化や業務の見直しに役立つ、と書いています。

同じように副業の準備を進めている人と、記録の付け方や確かめた手順を共有したい人は、AI副業準備室のコミュニティも使えます。