給与を1か所から受ける会社員なら、副業などの売上でなく所得の合計が20万円以下の時、所得税の確定申告は原則いりませんが、住民税の申告まで不要とは限りません。広島市に住む会社員が、20万円以下だからと何も出さずに3月15日を過ぎると、市が提出を求める市民税・県民税の申告書を出していない状態になる場合があります。その手前で確かめられるよう、2026年10月5日に保存した検索上位20件を数えた結果と、4つの自治体の案内を突き合わせて分かったことを、最初の見出しの前にまとめました。
先に、検索結果を数えた結果です。Googleの「副業 20万以下 確定申告」と「副業 20万以下 住民税 申告方法」の上位10件ずつ、合わせて20件(2026年10月5日に保存)を、タイトルと検索結果の抜粋に出てくる語で数えました。各ページの本文は開いていないので、本文の中でだけ触れているページは数に入っていません。
- 「副業」か「20万」を含むもの: 20件中1件。民間の記事で、国や自治体のページは0件でした。
- 国や自治体のページ(ドメインがgo.jpかlg.jpで終わるもの、または市・町・県の公式サイト): 20件中17件。
- 「住民税」「市民税」「県民税」のどれかと「申告」の両方を含むもの: 20件中6件。うち5件が自治体などのページでした。
- 確定申告、所得税、住民税、市民税、県民税、地方税、国税のどの語も含まないもの: 20件中9件。独占禁止法の申告の案内や、住民基本台帳の人口のページなどでした。
上位に並んでいたのは、e-Taxや確定申告書等作成コーナーといった申告の入口と、自治体ごとの住民税の申告の案内でした。どちらも手続きの入口としては役に立ちますが、副業の20万円と住民税の申告をつないで説明したページは、タイトルと抜粋で見る限り国や自治体のものには見当たりませんでした。検索の上位だけを見て判断すると、住民税の申告に気づきにくい場合があります。
4つの自治体の案内も突き合わせました。広島市、東京都北区、茨城県稲敷市、埼玉県東松山市のページを並べると、給与を受ける人で給与所得以外の所得が20万円以下の場合も住民税の申告書の提出が必要だとはっきり書いていたのは、広島市だけでした。北区は申告が必要でない方を挙げる書き方で、稲敷市と東松山市のページは、誰が申告するかではなく相談の予約や申告書の入手を案内するものでした。4つの違いを並べた表は3つめの見出しに、所得税と住民税の要否を1枚で見る判定表は4つめの見出しに置いています。
副業の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は要らない?

給与を1か所から受け、その全部が源泉徴収の対象で、ほかの条件にも当たらなければ、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円以下の時、所得税の確定申告はしなくてよいというのが国税庁の案内の読み方です。20万円以下なら申告しなくていい、という話のうち、ここまでは正しいと言えます。
国税庁のタックスアンサー「給与所得者で確定申告が必要な人」(令和8年4月1日現在法令等)は、まず「大部分の給与所得者の方は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了しますから、確定申告の必要はありません」と説明しています(国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」)。
そのうえで、給与所得者であっても、次のいずれかに当てはまる人は確定申告をしなければならない、としています。ここには「確定申告をすれば税金が還付される人は除きます」という断り書きが付いています。このうち、この記事で扱うのは次の3つです。
- 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
- 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える人
- 給与を2か所以上から受けていて、かつ、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超える人
業務委託で受けた副業の所得は、2つめの「各種の所得金額」の側に入ると考えられます。条件は「20万円を超える人」なので、ちょうど20万円の場合は、この条件には当たりません。
ただし、確定申告が必要な人はこの3つだけではありません。同じページには、同族会社の役員などでその同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人、災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人、源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人なども挙げられています。自分がどれかに当たりそうなら、20万円の条件だけで判断せず、ページ全体を読んで確かめてください。
合計に入れない所得の決まりもあります。上場株式等の配当等で確定申告をしないことを選択したもの、特定口座の源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡による所得で確定申告をしないことを選択したもの、源泉分離課税とされる預貯金の利子などは、給与所得と退職所得以外の所得金額の合計額には含まれません。副業のほかに投資をしている人は、この一覧と自分の口座の設定を見比べておきます。
通説と違ってくるのは、ここから先です。20万円を何で数えるか、住民税をどうするか、給与が2か所あるかで、何もしなくていいかどうかが変わります。
20万円は売上ではなく所得で判定する

20万円と比べるのは、副業の売上(総収入金額)の合計ではありません。総収入金額から必要経費を差し引いた、所得の金額です。
国税庁のタックスアンサー「雑所得」では、雑所得の例として「副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)」が挙げられています(国税庁「雑所得」)。業務に係る雑所得の金額は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。ここでいう業務に係るものとは、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものを指す、と注記されています。
一方で、雑所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも当たらない所得と定義されています。副業の中身や続け方によっては、雑所得とは別の区分に当たる場合もあります。自分の副業がどの区分か迷う時は、契約書や取引の記録を持って税務署に確認します。
家計簿で、入ってきたお金と出ていったお金を別の列に書くのと同じです。売上の列だけを見て20万円と比べると、所得では20万円以下なのに申告が要ると思い込む場合があります。たとえばAIツールの利用料を払いながら文章作成や画像生成の仕事を受けている場合、その利用料が必要経費に当たるかどうかで所得の金額が変わります。どの費用が必要経費に当たるかは中身で変わるので、領収書と、何の作業に使ったかのメモを残しておきます。
赤字の時の扱いにも注意が要ります。国税庁の案内では、雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の所得の金額と損益通算はできないとされています。副業の所得が雑所得に当たる場合、赤字でも給与の所得から差し引くことはできないということです。
報酬を決める段階で、作業に使う費用も一緒に書き出しておくと、年末に所得を出す時の手間が減りやすくなります。最初の金額の決め方は、AI副業の値付け。最初の金額を決める手順にまとめています。
副業の準備を何から始めるか迷っている人は、AI副業準備室のはじめての方へで、最初に手を付けることを確認できます。
確定申告が不要でも、住民税の申告は要る場合がある

所得税の確定申告が要らないからといって、住民税の申告まで要らないとは限りません。住民税の申告は、住所のある自治体に対する別の手続きです。20万円以下なら何もしなくていい、という話が当てはまらなくなるのは、主にここです。
広島市のよくある質問では、1月1日現在、広島市内に住所がある人は、所得税の確定申告をした人や前年の所得が給与所得のみの人などを除き、その年の3月15日までに前年の所得金額などを記載した市民税・県民税の申告書の提出が必要だと案内しています。そして給与所得のみの人の項目に、「給与所得以外の所得が20万円以下のため所得税の確定申告が不要の人も市民税・県民税の申告書の提出が必要です」と書かれています(広島市「個人の市民税・県民税(住民税)の申告が必要なのは、どのような人ですか。」)。
では、ほかの自治体の案内にも同じことが書かれているのでしょうか。広島市、東京都北区、茨城県稲敷市、埼玉県東松山市の4つのページを、この記事の準備で保存した写しで並べました。稲敷市と東松山市は、先に数えた「副業 20万以下 確定申告」の上位10件に入っていたページです。
| 見たこと | 広島市 | 東京都北区 | 稲敷市 | 東松山市 |
|---|---|---|---|---|
| ページの中身 | よくある質問「申告が必要なのは、どのような人ですか」 | 「住民税の申告が必要な方」 | 確定申告・住民税申告の申告相談の事前予約(終了の表示あり) | 令和8年度市・県民税申告書のダウンロード |
| 申告が要る人の書き方 | 1月1日現在市内に住所がある人は、確定申告をした人や給与所得のみの人などを除き提出が必要 | 住所を有する方は原則として提出。不要な方として、確定申告書を提出する方、給与支払報告書が提出され他に所得がない方などを挙げる | このページには書かれていない | このページには書かれていない |
| 給与以外の所得が20万円以下で確定申告が不要な人 | 提出が必要と明記 | 給与を受ける人についての明記はない(公的年金の項目では、年金以外の所得が20万円以下でも住民税の申告が必要になる場合があると記載) | 書かれていない | 書かれていない |
| 期限 | その年の3月15日まで | 原則として毎年3月15日まで | 申告の期限は書かれていない(申告相談のインターネット予約の受付終了は3月15日(日)午後4時) | 令和8年3月16日(月曜日) |
| 申告書や記入例 | 入手方法は別のページで案内 | 前年中の収入が無かった場合の申告例のPDF | 申告案内のリーフレットのPDF | 申告書、記入例3種、申告の手引きのPDF |
| 相談の予約 | 書かれていない | 書かれていない | 市の会場で申告相談をする場合は事前予約が必要。インターネットか専用ダイヤルで、ひと枠20分 | 書かれていない |
| ページに表示された日付 | 2025年2月24日更新 | 2025年12月19日更新 | 2026年5月29日 | 2026年1月13日更新 |
並べてみると、給与を受ける人で給与以外の所得が20万円以下の場合の扱いをはっきり書いていたのは、4つのうち広島市だけでした。北区で20万円が出てくるのは公的年金を受ける人の項目で、年金以外の所得が20万円以下で確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になる場合があると書かれています。給与を受ける人については、申告が必要でない方を「勤務先から北区に給与支払報告書が提出され、他に所得がない方」としています。副業の所得がある会社員はこの「他に所得がない方」には入らないと考えられ、申告が必要な方の側に入ると読めます。北区は、前年中に収入がなかった方も申告が必要な方に挙げています。
稲敷市と東松山市のページは、誰が申告するかではなく、相談の予約や申告書の入手を案内するものでした。東松山市の申告の手引きのPDFには説明がある可能性もありますが、この記事では中身を確かめていません。期限の書き方も違い、広島市と北区は3月15日まで、東松山市の令和8年度分は3月16日(月曜日)と書かれていました。同じ3月の期限でも、年によって日付が変わる場合があると考えられます。
ここで並べたのは4つの自治体の例で、全国共通の決まりとして書いたものではありません。住んでいる自治体のページを開いたら、この表の行と同じ順に、申告が要る人の書き方、20万円以下の人の扱い、期限、申告書の入手先、相談の予約の要否を探してみてください。書かれていない行があれば、自治体の窓口に問い合わせます。住民税の申告をした時に勤め先へどう伝わるかは、この記事の出典では確かめられないため扱いません。
給与を2か所から受けている時や、還付を受けたい時はどうなる?

アルバイトなど給与の形で副業をしていて、給与の全部が源泉徴収の対象となる人は、給与を2か所以上から受けている人の条件で判定します。1か所の時とは、足し合わせるものが変わります。
国税庁のページでは、給与を2か所以上から受けていて、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合、年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超える人は確定申告が必要とされています。ここで足すのは、年末調整されなかった側の給与の収入金額です。所得ではなく収入金額である点が、1か所の場合と違います。
この条件には注が付いています。給与の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く)を差し引いた金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円以下の人は、申告は不要です。
還付については、確定申告が必要な人の条件に「確定申告をすれば税金が還付される人は除きます」と書かれています。還付を受けたい場合は、自分で申告するかどうかを決めることになると考えられます。申告する場合に副業の所得をどう書くかは、税務署で確認してください。住民税の側でも、広島市の案内では、給与所得のみの人でも医療費控除等を受けようとする人は、市民税・県民税の申告書の提出が必要とされています。
ここまでの条件を、所得税と住民税で1枚にまとめます。住民税の欄は、4つの自治体のうち20万円以下の人の扱いを明記していた広島市の案内を例にしたものです。
| あなたの状況 | 所得税の確定申告 | 住民税の申告(広島市の例) |
|---|---|---|
| 給与1か所・全部が源泉徴収の対象で、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超える | 必要(確定申告をすれば税金が還付される人は除く) | 所得税の確定申告をした人は、提出が必要な人から除かれる |
| 給与1か所・全部が源泉徴収の対象で、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円以下 | この条件では不要(ほかの条件に当たる場合を除く) | 提出が必要 |
| 給与2か所以上・全部が源泉徴収の対象で、年末調整されなかった給与の収入金額と各種の所得金額の合計が20万円を超える | 必要(下の行の注の条件に当たる人を除く) | 所得税の確定申告をした人は、提出が必要な人から除かれる |
| 給与2か所以上で、給与の収入金額の合計額から所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く)を差し引いた金額が150万円以下、かつ各種の所得金額の合計額が20万円以下 | 不要 | 住所地の自治体で確認 |
| 給与の年間収入金額が2,000万円を超える | 必要 | 所得税の確定申告をした人は、提出が必要な人から除かれる |
| 医療費控除などを受けたい | 還付を受けるために申告するかを自分で決める | 給与所得のみの人でも、医療費控除等を受けようとする人は提出が必要 |
住民税の欄は自治体ごとに違う場合があるので、表の右側は、自分の住所地のページと照らし合わせて書き換えて使ってください。
年明けまでに、どんな記録をそろえておく?

判定に使うのは、主に給与の受け方、副業の売上と経費、住所地の自治体の案内の3つです。次のチェックリストを、年末までに一度埋めておきます。
- 給与の支払元の数: 今年給与を受けた勤め先がいくつあるか、年末調整を受けるのはどこかを見る。
- 副業の契約の形: 契約書や利用規約で、業務委託か雇用かを見る。雇用で、給与の全部が源泉徴収の対象なら、給与2か所以上の条件で判定する。
- 売上の記録: 入金ごとの日付、支払元、金額を見る。支払元の明細があれば一緒に保存する。
- 必要経費の記録: 領収書と、何の作業に使ったかのメモを見る。迷う費用には印を付けておく。
- 所得の計算: 業務委託の副業なら、3の合計から4の合計を引いた額に、給与所得と退職所得以外のほかの所得を合わせ、20万円と比べる。合計に含まれない所得は外す。
- 控除や還付の予定: 医療費控除などを受けたいかを見る。受けたい場合は、所得税の申告をするか決め、住民税の申告の要否も確かめる。
- 住民税の案内: 1月1日時点で住所のある自治体のページで、4つの自治体の表と同じく、申告が要る人の書き方、20万円以下の人の扱い、期限、申告書の入手先、相談の予約の要否を見る。
- 本業の就業規則: 副業の届け出や許可の決まりがあるかを見る。
8について、厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公開し、モデル就業規則にも副業・兼業についての規定を設けています(厚生労働省「副業・兼業」)。税の手続きとは別に、勤め先のルールも先に確かめておきます。業務委託の副業を始める前の確認項目は、AIアノテーター副業の始め方|求人に応募する前の確認6項目でも整理しています。契約の形は案件ごとに違う場合があるので、案件を選ぶ段階で見ておくと判定しやすくなります。選び方はAI副業の案件選び方を参考にしてください。
所得税の確定申告をすることになった場合、国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、画面の案内に沿って金額等を入力することで、自宅等で確定申告書等の作成・提出ができると案内されています。
この記事は、公式の案内と保存した検索結果をもとに判定の手順を整理したものです。個別の税額や、申告が要るかどうかの最終的な判断まではしていません。表とチェックリストで迷う行が残ったら、税務署か住所地の自治体の窓口に、メモを持って確認してください。同じように副業の準備を進めている人と手順を確かめ合いたい人は、AI副業準備室のコミュニティも使えます。
関連して、副業を始めたらまず開業届?出す前に確かめる帳簿と所得区分の判定表も確認すると、この内容を次の判断につなげやすくなります。