副業の詐欺やトラブルは、見るからに怪しい高額な話から始まるとは限らず、1万円の商材や月2万円ほどの月額表示、副業の面接が入口になった相談事例もあります。国民生活センターの報告書には、Web会議での副業の採用面接で有料研修を勧められ、月額2万円程と聞いてカードで契約したところ、電子契約書の総額が65万円だった事例が載っています。その報告書の4つの事例を入口から解約の場面まで1つの表に並べ、2026年10月8日に取得した副業 詐欺の検索上位10件の内訳を数えて、最初の見出しで示します。

怪しい副業は見ればすぐ分かる?4つの事例のうち3つは少額や月額の表示から始まっていた

机の奥のふちに青いカードが1枚立ち、手前に6本の線が入った台形の白い紙、右に角の丸いオレンジ色の四角を置いた場面

見ただけでは分かりにくい場合があります。国民生活センターが2026年9月16日に公表した4つの相談事例のうち3つは、1万円の情報商材、月謝払いで約2万2,000円、月額2万円程という金額の示し方から始まっていました。

国民生活センターによると、AI講座やSNS運用講座などのビジネス講座に関して全国の消費生活センター等に寄せられる相談は、増加傾向で推移しています。以前はSNS広告をきっかけに通信販売で契約したケースの相談が多く寄せられていましたが、近年はSNS広告で知った事業者からWeb会議サービス等を利用して勧誘を受け、契約したケースの相談が見られるとしています。こうしたケースは特定商取引法における電話勧誘販売に該当する場合があり、通信販売と比べて契約金額が高額となる傾向が見られるとのことです(国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意」)。

報告書本文に載っている4つの事例を、入口、勧誘の場、最初に示された金額、実際の契約、後で分かったことの順に並べると次のようになります(報告書本文)。

事例入口勧誘の場最初に示された金額実際の契約後で分かったこと
1SNS広告からメッセージアプリへ誘導動画を見る3時間の説明会。質問はチャット月謝払いで約2万2,000円1年契約のオンラインAI講座解約時に、解約手数料として残月数受講料の40%が必要と言われた
2AIを使った副業の広告をSNSで見て、事業者のWebサイトへ1万円の情報商材を買った後、メッセージアプリとWeb会議で1対1、約2時間1万円の情報商材約80万円で1年間受講できるオンラインAI動画講座。36回払いの個別クレジット月々の支払いが困難になった
3画像共有SNSの副業スクールの広告からWebサイトへメールで届いたURLから参加したWeb会議のセミナー当日なら特典としてAIのプロンプトも提供すると言われたクレジットカードで約20万円。契約書はもらっていない利用規約に、解約できる期間の制限や、動画をおおむね最後まで視聴していること等の条件があった
4大手求人サイトで副業に応募Web会議での2次面接。AIの知識が必須で有料研修が必要と言われた月額2万円程電子契約書では総額65万円。カード会社の請求額は約70万円事業者から、事業者間契約だから解約はできないと言われた

並べてみると、4つとも最初の接点は広告か求人で、契約を決めた場は説明会かWeb会議でした。事例1と事例4では、最初に聞いた月々の金額と、契約期間や総額との違いが、契約書面を読み込むまで見えにくかったと考えられます。

もう1つ、報告書はこれらの相談を詐欺とは呼んでいません。講座の内容が期待した水準ではなかった、解約条件が厳しかった、支払いが困難になった、という契約のトラブルとして扱っています。相手が詐欺かどうかを見抜こうとするより先に、契約の中身を書面で確かめるほうが、その場で判断しやすいと考えられます。

副業 詐欺の検索上位10件は、何を扱っていたか

2026年10月8日にGoogleで副業 詐欺と検索した上位10件を、運営元の種類で数えました。運営元の種類は、ドメイン名とタイトルから判断しています。

運営元の種類件数
法律事務所と見られるサイトの解説記事3件
法律相談の掲示板3件
SNSの動画投稿1件
報道1件
クラウドソーシング事業者の解説記事1件
民間スクールの解説記事1件

タイトルと検索結果の抜粋に返金の語が入っていたのは3件、AI、講座、Web会議、面接の語が入っていたのは0件でした。数えたのはタイトルと抜粋だけで、各ページの本文までは確かめていません。法律相談の掲示板の3件と、返金に触れた3件を合わせると、10件のうち6件が相談の書き込みか返金の話でした。上位では、すでに起きたことへの相談や返金の話が目立つと考えられます。この記事では、契約する前に確かめることに絞り、3つめの見出しに書き込める確認表を置きます。

副業の面接や説明会のつもりでも、講座の勧誘に変わることがある?

机の上に開いたノートパソコンがあり、画面に薄い青と薄い緑の長方形が左右に並び、右に薄いオレンジ色のカップを置いた場面

あります。報告書は、SNS広告や求人サイトなどをきっかけに事業者へ連絡したところ、当初は副業の紹介、面接、交流会などと説明されていたのに、実際には高額なビジネス講座を勧誘されたケースが見られるとしています。

講座の契約の勧誘を受けると認識しないまま、やりとりが進む例もあり、不意打ち的な勧誘を受けたとする相談も見受けられるそうです。国民生活センターの発表ページには、ビジネス講座の勧誘があることを知らされないままWeb会議に接続した、という事例も挙げられています。電話勧誘販売による契約では、契約に際して特定商取引法に定める書面が交付されなかったケースも見られる、と報告書は書いています。

相談の中身も数字で見ておきます。報告書の参考資料では、2025年度に受け付けたビジネス講座の相談(2026年7月31日までの登録分)のうち、主な相談内容の上位5つは次のとおりです。1つの相談に複数の内容が付く集計です。

順位相談内容件数割合
1解約(全般)1,748件49.2%
2電話勧誘1,655件46.6%
3SNS1,511件42.6%
4返金1,193件33.6%
5電子広告1,162件32.7%

契約当事者の平均年齢は38.0歳で、職業は給与生活者が60.5%と最も多くなっています。会社に勤めながら副業を探している人にとって、遠い話ではないと考えられます。

講座のほかにも、副業の名目でお金を払わせる手口を、国民生活センターは2026年5月に続けて取り上げています。5月19日の発表では、動画を見ていいねを押すといった簡単な作業で報酬が入るという副業で、最初に約2,500円の報酬が振り込まれた後、作業の失敗はグループの連帯責任だとして約50万円の入金を求められた事例が紹介されています(国民生活センター 2026年5月19日の発表)。5月20日の発表では、副業サポートや投資の名目で、複数の貸金業者から短期間のうちに次々と借り入れさせる手口が目立つとし、遠隔操作アプリをインストールさせられたり画面共有をされたりすることがある、と注意を呼びかけています(国民生活センター「副業サポートや投資の名目で借金させる業者に注意!」)。業者から「すぐに返済できる」と言われて借り入れをした場合でも、その借り入れの返済義務は借り入れをした消費者が負う、と同じ発表は書いています。

月額いくらと言われたら、何を確かめればいい?

壁に掛けた白い板に薄い青の四角が9列4段に並び、左上の1つだけがオレンジ色で、机の上に青いカードを1枚置いた場面

月々の支払額ではなく、総支払額、支払回数、契約期間、解約の条件を確かめます。報告書は、受講料は月額いくらと説明されていても、実際には長期間の継続的な受講を前提とした契約になっていて、総額が数十万円から100万円を超える高額になっているケースが散見される、としています。

仮の数字で考えると、月2万円を36回払えば72万円です。月2万円という言葉だけを聞いてその場で決めると、この72万円の側を見ないまま契約することになります。報告書も、月々の支払額が少額に見えても、支払期間が長期に及ぶことで総支払額が高額になる場合があると書き、長期間にわたる高額の契約をクレジット払いする場合は、支払いが可能かを慎重に検討するよう勧めています。講座代はすぐに取り戻せるなどと説明されても、将来の収入が保証されているわけではない、とも書いています。

次の確認表は、報告書のアドバイスと4つの事例で問題になった点を、契約前に書き込める形にしたものです。印刷するか、メモアプリに写して使ってください。

確かめる項目見る場所書き込む欄
勧誘を受けた経路と日時最初に見た広告や求人の画面、届いたメールやメッセージ____
説明の場が何と案内されていたか(面接、説明会、交流会など)案内のメールやメッセージの本文____
講座の内容と難易度(カリキュラム、講義形式、講師の実績や専門性、受講後に得られるスキル)事業者のWebサイト、契約書面____
月々の支払額説明の時に見せられた画面、契約書面____
支払回数と総支払額契約書面や電子契約書、説明画面の小さな字____
支払い方法(カードの一括、カードの分割、個別クレジット)申込みの画面、クレジットの申込書____
契約期間契約書面____
解約の方法、解約料の有無、返金条件利用規約や契約書面の解約の項目____
契約書面を受け取ったか手元の書面、メールの添付____
当日だけの特典などで急がされていないか説明会やWeb会議で聞いたことのメモ____

1つでも書き込めない欄が残ったら、その日は契約せずに持ち帰ります。報告書も、契約や支払い方法について十分に理解できない場合は、その場で判断しないことが大切だとしています。

契約する前に、どこを見れば危ない勧誘に気づきやすい?

机の上に線の入った白い紙2枚を左右に並べ、左の紙の下側に灰色の柄の虫めがねを重ねた場面

広告の言葉、案内の文面、説明画面の小さな字、契約書面、利用規約、求められる操作の順に見ていくと、気づきやすくなります。どれも、4つの事例と5月の2つの発表で問題になった場所です。

  1. 広告や説明で使われた言葉。すぐに元が取れる、受講料はすぐに回収できる、といった強い勧誘には注意が必要だと報告書は書いています。将来の収入や成功が保証されているかのような説明かどうかを見ます。
  2. 面接や説明会の案内文。講座の勧誘があると書かれているかを見ます。書かれていないのにWeb会議で講座の話が始まったら、その場では決めません。
  3. 説明の時に映された画面。支払回数と総額が薄い字で書かれていないかを見ます。事例4では、電子契約書の総額に驚いた後で説明の画面を見直すと、薄い字で支払回数と総額が書かれていました。
  4. 契約書面または電子契約書。総額、支払回数、契約期間が、口頭で聞いた説明と同じかを見ます。
  5. 利用規約の解約の項目。解約できる期間の制限、視聴の進み具合などの条件、解約料の計算方法を見ます。事例1の解約手数料や事例3の視聴の条件は、どちらも契約の後で知ったと相談された条件です。
  6. 支払い方法の案内。カードの限度額が足りない時に、個別クレジットや分割払いへの変更を勧められていないかを見ます。
  7. スマートフォンへの指示。遠隔操作アプリのインストール、画面共有、消費者金融への借り入れの申込みを求められていないかを見ます。
  8. 相手の名前と連絡先。会社名が分からないまま、メッセージアプリのアカウントだけでやりとりしていないかを見ます。
  9. 求められた個人情報。住所、氏名、銀行口座、免許証などを、相手が誰か分からないまま送ろうとしていないかを見ます。

AIのスキルを身につけたい気持ちが入口になる場合、講座に申し込む前に、無料で使えるAIで何ができるかを試しておくと、有料の講座が本当に要るのかを考えやすくなります。試し方は無料のAIだけで、今日できることにまとめています。報告書も、スキルアップのための情報を集める時は、教育訓練給付制度やリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業など、公的な支援の情報を提供しているサイトの活用も検討するよう勧めています。支援を受けるには一定の要件を満たす必要があります。

副業の仕事そのものを探している場合は、講座の契約より先に、案件の中身を比べる見方を持っておくと、面接で研修費の話が出た時に立ち止まりやすくなります。見る基準はAI副業の案件選び方、探す場所は副業の最初の案件はどこで探す?で整理しています。何から手を付けるか迷っている人は、AI副業準備室のはじめての方へも見てください。

契約してしまったら、どこに相談する?

机の上に画面が水色のスマートフォンと、緑のふちのノート、青いペンを並べた場面

不安に思った時やトラブルになった時は、消費者ホットライン188に電話します。最寄りの市区町村や都道府県の消費生活センター等を案内する、全国共通の3桁の電話番号です。

報告書は、Web会議や電話でのやりとりの中で有料の講座を勧められて契約した場合や、この講座を受ければ仕事を提供するので収入が得られる等と勧誘されて契約した場合には、クーリング・オフの対象となる場合がある、としています。ビジネス講座の契約であっても、契約時点で実際に事業を行っていない場合など、実態として消費者に当たる場合には、クーリング・オフができる場合があるとも書いています。解約に際し不当な解約料がかかる場合など、消費者に一方的に不利な条項は、消費者契約法の規定によって無効となる場合もあるとのことです。

どれに当たるかは、契約の経緯や書面の中身で変わります。事例4のように事業者間契約だから解約はできないと言われても、自分だけで結論を出さず、早めに相談します。この記事は、特定の事業者が詐欺かどうか、返金やクーリング・オフができるかどうかを判断するものではありません。

お金を稼ぐつもりが、反対に振り込みを求められた場合は、言われたとおりに振り込まず、消費生活センター等に相談するよう国民生活センターは勧めています。いったん振り込んでしまうと被害回復は困難だ、とも書いています。5月19日の発表では、警察相談専用電話#9110も案内されています。

相談する時は、3つめの見出しの確認表に加えて、最初に見た広告や求人の画面、メッセージのやりとり、契約書面、利用規約、カードやクレジットの明細を手元にそろえておくと、経緯を説明しやすくなります。

月額の講座なら、高額な契約にはならない?

高額になる場合があります。事例1は月謝払いでしたが1年契約で、事例4は月額2万円程という説明の契約が総額65万円でした。月額と一緒に、支払回数と総額を確かめます。

Web会議で今日決めてほしいと言われたら?

その場で契約せず、いったん冷静に検討するよう報告書は勧めています。今日契約すれば特典があるなどと急かされても同じです。突然高額な講座を勧められたり、説明が不十分だったりする場合は、きっぱりと断ることも勧めています。

副業の面接で研修費を求められたら?

面接のつもりでも講座の勧誘に変わるケースがあることは、2つめの見出しで見たとおりです。研修の総額、支払回数、解約の条件を書面で受け取るまでは、契約もカードの手続きもしないでおきます。

同じように副業の準備を進めている人と、気になった勧誘や確かめ方を共有したい人は、AI副業準備室のコミュニティも使えます。