AI副業の基礎
AI副業の最初の実績を、30分の練習でつくる
いきなり受注しなくていい。まず「見せられるもの」を1つ持つところから。
副業を始めようと求人サイトや案件募集のページを開くと、応募ボタンの前で手が止まります。実績の欄に書くことが何もないからです。やったことがないから実績がない、実績がないから仕事が来ない。この行き止まりで、最初の一歩を踏み出せないままになっている人は少なくありません。
止まる原因は、やる気でも才能でもありません。順番です。先に仕事を探そうとするから、見せられるものがなくて詰まる。順番をひっくり返して、見せられる成果を1つ先に作ってしまえば、応募ボタンの前で固まる時間がなくなります。しかもその成果は、AIを使えば30分ほどで形になります。
なぜ仕事より先に「見せられるもの」がいるのか
頼む側の気持ちになると分かります。あなたに何かを任せたい人は、あなたが何をどのくらいできるのか見えないと、お金を払う判断ができません。やる気はあります、がんばりますという言葉だけでは、相手はリスクを負えないのです。会ったこともない相手に仕事を渡すのは、頼む側にとっても勇気がいります。
ここで効くのが、小さくても実物の見本です。料理で言えば、メニューに写真があるかないかの差に近い。文字でおいしいと書かれるより、一皿の写真を見せられたほうが、頼む側は安心して注文できます。仕事を頼む人も同じで、あなたが過去に作った一品を見せられると、頼んでいい相手かどうかを一目で判断できます。見本は、まだ信頼のないあなたの代わりに、相手を安心させてくれます。
この見本のまとまりを、副業の世界ではポートフォリオと呼びます。言葉だけ聞くと立派なものを想像しがちですが、中身は作った成果を並べただけのものです。詳しくはポートフォリオってなに?で整理しています。最初は1つか2つで十分なので、まずは中身を1つ作ることから始めます。豪華な台紙も、きれいなサイトも、この段階では要りません。
30分でできる、最初の練習
題材は身近なお店やサービスを1つ選びます。よく行くカフェでも、近所のパン屋でも、頭の中で作った架空のお店でも構いません。実在の名前を出すのが気になる人は、設定だけ自分で決めた架空の店にしておくと安心です。架空にする場合は、立地や客層、おすすめの一品くらいは自分で決めておくと、紹介文に芯が通ります。
選んだら、そのお店の紹介文をAIと一緒に作ります。手元では、こんな流れになります。
- 最初に「このお店の良いところを、お客さん目線で3つ挙げて」と頼む
- 次に「その3つを使って、はじめて来る人向けの紹介文を150字で書いて」と頼む
- 出てきた文を、自分の言葉で読みやすく直す
たとえば、駅から少し歩く小さなコーヒー店を題材にするとします。AIは、静かに過ごせる、豆にこだわっている、店主が気さくといった良いところを挙げてくれます。それを材料に150字の紹介文を作らせると、誰が読んでも分かる文章が返ってきます。
ここで終わりにしないのが大事です。返ってきた文には、どこか説明っぽさや、当たり障りのなさが残っています。静かに過ごせるという一文を、ひとりで本を読む時間にちょうどいい、と自分の言葉に置き換える。こういう小さな手直しが、あなたが文章を判断できる人だという証拠になります。AIが土台を作り、人が最後を整える。この分担が、そのまま実際の仕事でのやり方になります。
頼んだのに思った答えが返ってこないときは、頼み方を少し変えるだけで結果が動きます。良いところを3つ挙げてと頼むだけより、来店した人が友達にすすめたくなる点を3つ、と具体的に頼むほうが、使える材料が返ってきます。読む相手を伝えるのも効きます。近所に住む30代の人に向けて、と一言そえるだけで、文章の温度が変わります。指示の出し方はAIへの指示のコツ。頼み方を変えるだけで答えが変わるにまとめています。
最初のうちは、AIが返した文をそのまま貼り付けて満足してしまいがちです。ここがいちばんのつまずきどころです。そのまま使うと、ほかの人がAIに頼んで作った文と区別がつきません。手直しの跡こそが、あなたという人の見せどころになります。1文でいいので、自分が一番気に入った言い回しに直す。それだけで、コピーした文ではなく、あなたが仕上げた文に変わります。
練習を「見せられる形」にする
成果物は、作っただけだと相手に伝わりません。見せ方を整えると、同じ成果でも受け取られ方が変わります。
おすすめは、直す前と直した後を並べる形です。ありがちな紹介文を左に、あなたが整えた文を右に置く。並べると、どこをどう良くしたのかが言葉なしで伝わります。赤ペンで原稿を直したノートを想像してください。直す前の字と直した後の字が両方見えるから、何を変えたのかが一目で分かる。あれと同じ効果が出ます。直しただけでなく、なぜそう直したかを一言そえると、判断の理由まで伝わります。
この比較を3つくらい作って並べると、見本のまとまりになります。1つだけだとまぐれに見えますが、3つあると、たまたまではなく自分の手で作れる人だと伝わります。題材はお店の紹介文に限らず、商品の説明や、お知らせの文、予約のお礼メッセージでも構いません。少しずつ題材を変えておくと、こういう文章なら任せられそうだと相手が想像しやすくなります。
並べる場所は、最初は1枚の文書で十分です。無料で使える文書ツールに、題材ごとに前と後を書いていくだけで形になります。きれいなサイトを作るのは、見せられる中身がそろってからで遅くありません。
作った見本を、次にどうつなげるか
見本が手元にできたら、ようやく仕事を探す段階に進めます。ここで初めて、応募ボタンの前で書けることがある状態になっています。実績はありませんが練習で作った見本があります、と言える人と、何も見せられない人とでは、相手の受け取り方がまるで違います。前者には、どんなものを作ったのか見せてくださいという返事が来る余地があります。
仕事の探し方ははじめての案件、どこで探す?で初心者向けの場所を整理しているので、見本ができてから読むと、自分ごととして読めるはずです。場所を知ってから見本を作るより、見本を持ってから場所を選ぶほうが、どこに出すと刺さるかも見えてきます。
見本があると、自己紹介の文も書きやすくなります。たとえば、お店の紹介文をAIと一緒に作る練習を3つしました、と一行そえて、作った見本へのリンクを置く。これだけで、何ができるか分からない人から、文章を整えられる人に印象が変わります。経歴が長くなくても、手元の見本が代わりに語ってくれます。逆に、見本がないまま長い自己紹介だけ書いても、読む側は判断のしようがありません。先に物を見せ、言葉はそえるくらいでちょうどいいのです。
順番だけ間違えなければ、最初の一歩はそこまで重くありません。仕事を探してから慌てて見本を作るのではなく、見本を1つ持ってから探しに行く。たったこれだけで、応募の前に固まる時間が消えます。完ぺきな見本でなくていいので、まずは30分、お店を1つ選ぶところから手を動かしてみてください。