AIツールの使い方

Claude Codeでメール返信案を作る。文脈を持たせる型

メール返信の質は、AIの文章力より「どれだけ背景を分かっているか」で変わります。

メール返信をAIに任せるとき、単に「このメールに返信して」と頼むだけでは、どうしても薄い文章になりやすいです。理由は簡単で、AIが相手との関係、自分の考え方、これまでのやり取り、会社として守るべき線を知らないからです。

これは、初出勤のアルバイトにいきなり常連客の接客を任せるようなものです。言葉づかいは丁寧でも、そのお客様が何を大事にしているか、前回どんな話をしたか、店としてどこまで約束してよいかを知らなければ、安心して任せることはできません。Claude CodeやCodexのようなエージェントツールを使うときは、まずこの「店の引き継ぎノート」を作る感覚が重要です。

ここでいう引き継ぎノートが、AGENTS.md、ルール、スキル、メモリーです。ツールの入り口が分からない場合は、先にCodexアプリのインストールと初期設定を確認してから読み進めるとイメージしやすくなります。

メール返信は、文章作成ではなく文脈理解から始める

普通のチャットAIにメール文だけを貼ると、その場の文章は整います。ただし、返信の質は「その人が何を知っているか」で大きく変わります。相手は新規の問い合わせなのか、何度も相談してくれている人なのか。こちらは強く売りたいのか、いったん信頼を優先したいのか。価格を出してよい段階なのか、まだヒアリングしたい段階なのか。こうした背景がないと、きれいだけれど浅い返信になります。

Claude CodeやCodexを使う利点は、作業フォルダ内の情報を読ませながら返信案を作れることです。たとえば、顧客対応の方針、よく使う言い回し、NG表現、過去の提案方針、サービス説明、料金を出す前の確認項目などをファイルとして置いておく。するとAIは、単なる文章係ではなく、社内資料を見ながら下書きするアシスタントに近づきます。

料理でいえば、冷蔵庫の中身を見ずに献立を考えるのではなく、冷蔵庫、家族の好み、アレルギー、今日の帰宅時間を見てから献立を考えるようなものです。メール返信も同じで、相手の文面だけでなく、自分側の事情を見せるほど、返信案は現実に近づきます。

AIに下書きたたき台を出す人が確認・直す事実を確かめる完成自信を持って渡すAIは下書き。確認と仕上げは人がやる

AGENTS.mdには、返信の基本姿勢を書いておく

まず整えたいのは AGENTS.md です。これは、AIに対する作業場の総合ルールです。メール返信で使うなら、次のような内容を書いておきます。

  • 原則として丁寧だが、売り込みすぎない
  • 価格や契約条件を断定しない
  • 相手の悩みを一度受け止めてから提案する
  • 分からないことは確認質問にする
  • 個人情報、秘密情報、未公開情報は外に出さない
  • 最終送信は必ず人が確認する

これは、会社の受付マニュアルに近いです。毎回「失礼のないように」「強く売らないで」「まだ約束しないで」と言わなくても、作業場の最初に置いておけば、AIが毎回そこを参照しやすくなります。AGENTS.md、スキル、メモリーの関係はAGENTS.md・Skills・Memory・Rulesの役割でも整理しています。

大切なのは、AIに人格を期待するのではなく、判断材料を渡すことです。優秀な社員でも、会社の方針を知らなければ良い返事はできません。AIも同じで、方針を持たせるほど返信案が安定します。

AIの答え事実は自分で確認数字・名前・日付・出典言い回しは任せる読みにくいだけで済む

ルールとスキルで、返信の型を分ける

メール返信には種類があります。問い合わせへの一次返信、日程調整、見積もり前のヒアリング、クレームへの初動、資料送付後のフォロー。それぞれで見るべき場所が違います。

そこで、ルールやスキルとして「返信の型」を分けておきます。たとえば問い合わせ返信用のスキルには、相手の課題を要約する、追加で確認することを3つ以内にする、すぐに価格を出さない、最後に次の行動を明確にする、といった手順を書きます。日程調整用なら、候補日、所要時間、オンラインか対面か、返信期限を見る。クレーム対応なら、謝罪、事実確認、原因断定を避ける、対応期限を明確にする、という順番にします。

これは美容室でいうと、カウンセリング、カラー塗布、仕上げ、会計を全部同じ手順でやらないのと似ています。お客様対応という大きな仕事は同じでも、場面ごとに見るポイントが違います。AIにも、場面ごとの手順書を渡すと、返信案が「それっぽい文章」から「使える下書き」に変わります。

用語が混ざりやすい場合は、Codexエージェント用語集を先に見ておくと、ルール、スキル、メモリー、MCPの違いがつかみやすくなります。

メモリーには、自分の考え方と相手情報を置く

メール返信の質を上げるうえで、メモリーはかなり重要です。ここには、毎回変わらない自分の考え方や、相手に合わせるための情報を置きます。

たとえば、自分は強引な営業をしない、相手が整理できていない段階では提案より質問を優先する、初心者には専門用語を避ける、既存顧客には過去の背景を踏まえて返す。こうした考え方が入っていると、返信案の温度感が変わります。

ただし、メモリーに何でも入れてよいわけではありません。生の個人情報、秘密情報、契約前の機密内容、相手のメール全文を無制限に入れるのは避けます。安全に使うなら、相手の固有名詞を伏せた要約、対応方針、次に確認すること、送ってはいけない情報だけを置くのが現実的です。

引き継ぎノートに、家の鍵の場所やクレジットカード番号を書かないのと同じです。便利にするための情報と、置いてはいけない情報を分ける。この線引きがあると、AI活用はかなり安全になります。

手が止まる白紙・ひとりで抱える前に進むAIに下書きを任せる止まっていた時間が、動き出す

返信案を作る実際の流れ

実際に使うときは、いきなり送信まで自動化しません。最初は「返信案を作るところ」までにします。流れは次のようにします。

  1. 受け取ったメールを、個人情報や秘密情報を伏せて要約する
  2. Claude CodeまたはCodexに、関連する AGENTS.md、ルール、スキル、メモリーを読ませる
  3. 相手の要望、こちらの目的、返信で決めたいことを整理させる
  4. 返信案を2案作らせる
  5. 人が確認して、送ってよい内容だけを採用する

この段階では、AIは送信ボタンを押しません。あくまで、秘書が下書きを机の上に置いてくれる状態です。最初から完全自動返信にすると、未確定の約束、強すぎる表現、秘密情報の混入が起きやすくなります。まずは下書き自動化、次にレビュー補助、最後に一部テンプレ返信の自動化という順番が安全です。

さらに進めるなら、GmailやSlack、Notion、Google Driveなどとつなぎ、必要な情報を探して返信案を作ることもできます。その入口になるのがMCPやプラグインです。設定全体はCodexで使うMCP・プラグイン・自動化・モデル選びで扱っています。

最初のプロンプト例

最初は、次のようなプロンプトで十分です。

このメールへの返信案を作ってください。先に AGENTS.md、メール返信用ルール、顧客対応メモリーを読んでください。相手の要望、こちらが確認すべきこと、まだ約束してはいけないことを整理したうえで、返信案を2つ作ってください。実名、メールアドレス、金額、契約条件などの機密情報は本文に出さないでください。送信はしません。人が確認する下書きだけ作ってください。

このプロンプトのポイントは、返信文だけを求めていないことです。先に、相手の要望、確認すべきこと、約束してはいけないことを整理させています。つまり、メールを書く前に「状況整理」を挟んでいます。

会社員の仕事でいえば、上司にいきなり完成メールを出すのではなく、「相手はこう言っています。こちらはここを確認する必要があります。返信案は2つあります」と持っていく形です。この順番なら、AIの下書きも確認しやすくなります。

Claude CodeやCodexでメール返信を作る本当の価値は、文章を速く書くことだけではありません。自分の方針、相手の背景、過去の文脈、守るべきルールを読ませたうえで、返信案を作れることです。メール返信の自動化は、送信をAIに任せることではなく、人が判断しやすい下書きを安定して作ることから始める。この考え方なら、副業準備にも、会社の業務改善にもつなげやすくなります。

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