公務員AIキャリア準備室
公務員の副業準備で、最初に確認すること
学ぶこと自体は前向きな準備。ただ、最初に確認しておきたい線があります。
副業の準備を始めようとして、最初の一歩でいったん手が止まる。これ、公務員の方にはよくある場面だと思います。やってみたい気持ちはある。でも、職場の規程に引っかからないか、誰に聞けばいいのか、そもそも準備のどこまでがセーフなのかが見えない。その曖昧さのまま検索を続けて、結局なにも始められていない。そういう状態になりやすいのが、公務員の副業準備です。
止まる原因は、やる気でも知識でもなくて、線が見えないことだったりします。今やっていいことと、許可や退職を待つべきことの境目です。ここがはっきりすると、現役のうちにできる準備はわりとあります。逆に、その線を引かずに進めると、後で気まずい思いをしかねません。
先にお断りしておくと、ここでは法的な助言はしません。副業や兼業ができるかどうかの最終的な可否は、あなたの所属の規程と許可によります。このサイトがその可否を判断することはできません。なので、判断そのものではなく、判断する前に整えておけることを書きます。
学ぶことと、報酬を受けて働くことは別
まず分けたいのが、AIを学ぶ・練習することと、実際に報酬を受けて仕事をすることです。この2つは別物として扱います。
学習は、本を読む、無料の教材を触る、AIに質問してみる、手を動かして何かを作ってみる、といった行為です。報酬は発生しません。これに対して副業は、誰かから依頼を受けて、対価をもらって成果物を納める行為です。お金が動きます。
公務員の兼業制限が関わってくるのは、後者の報酬が発生する部分です。だから、現役で許可のない段階では、報酬を受ける仕事には手を出さず、学習と準備に絞る。これがいちばんつまずきにくい進め方です。退職後や、許可を得た後に活かせる実務力を、今のうちに静かに貯めておく。そういう位置づけで考えます。
ここで気をつけたいのが、報酬の境目が曖昧に見える場面です。知り合いに頼まれて無料で資料を作る。SNSで作ったものを公開したら、お礼に何かもらった。練習のつもりが、いつのまにか対価のやりとりに近づいていることがあります。お金が動いていなくても、継続的に頼まれて応える形になってくると、性質が変わってきます。準備期間のうちは、対価が絡みそうな話はいったん受けない。この線を自分の中で先に決めておくと、後で迷わずに済みます。
たとえるなら、料理人になりたい人が、開店前に毎日まかないを作って練習しているような状態です。お店としてお金をもらう前から、包丁さばきも味付けも仕込んでおける。お客さんに出すのは許可が下りてから。でも腕は今のうちから上げておける。準備期間のAI学習も、これと同じ感覚で進められます。
練習の題材は、公開情報だけにする
何を題材にして練習するか。ここは公開されている情報だけに絞ります。
使わないものをはっきりさせておくと、職場の内部資料、住民の方の情報、まだ公表されていない数字、職場の端末から持ち出したデータです。これらは練習であっても触りません。服務を守るうえでも、自分の身を守るうえでも、ここは線を引いておきたいところです。
「練習だから少しくらい」が一番あぶないところでもあります。公開情報だけでも、AIに慣れる練習は十分にできます。たとえば、自治体が公開している統計を要約してみる、ニュース記事を3行にまとめてもらう、架空の店舗を設定して告知文を書いてみる。題材を外から拾ってくる発想に慣れておくと、許可が下りた後もそのまま動けます。
公開情報だけでできる具体的な練習の組み立て方は、公開情報だけでできる、AI練習メニューにまとめてあります。何から手を付けるか迷ったら、こちらから入ると進めやすいはずです。
可否の確認は、自分と所属で
兼業や副業ができるかどうか。これは各自の規程と所属の許可によります。さきほども書いたとおり、このサイトでは判断できません。
ネット上には公務員の副業に関する情報がたくさんありますが、職種、自治体、勤務形態によって扱いが変わります。誰かの「できた」が、自分にそのまま当てはまるとはかぎりません。だから、実際に何かを始める前には、自分の所属のルールを確認してください。就業規則や服務規程、人事担当の窓口、それぞれの自治体や省庁が出している兼業の取扱い。確認先は職場にあります。
確認するときは、ふわっと「副業っていいんですか」と聞くより、具体の形に落として尋ねるほうがはっきりした答えが返ってきます。退職後に向けて今は学習だけしている、報酬を受ける予定はない、というところまで整理してから相談すると、相手も判断しやすくなります。許可が要る場合は、どんな手続きが必要で、誰が判断するのかも、あわせて聞いておくといいです。
現場の感覚で言うと、ここを飛ばして「たぶん大丈夫だろう」で進めるのが、いちばん後悔につながります。確認は面倒に感じても、最初に一度やっておくと、その後の準備がずっと落ち着いて進められます。可否が分からないまま動くより、線がはっきりしたうえで学習に集中するほうが、結果として早く力がつきます。
練習の成果は、所属が分からない形でまとめる
学習を続けていくと、作ったものが溜まってきます。これをまとめておくと、許可が下りたときや退職後に、自分にできることを見せる材料になります。
ただ、まとめ方には気をつけたいところがあります。どこに所属しているかが分かる情報は入れないことです。実在する職場の事例、内部で見聞きした話、所属が特定できる固有名詞は避けます。架空の題材や、公開情報をもとにした課題で十分に力は示せます。たとえば、架空のパン屋さんを想定してチラシ文を書いた、公開データを使って簡単なレポートを作った、そういう形でまとめれば、所属を出さずに腕前は伝わります。
こうしてまとめた作品集のことを、副業の世界ではポートフォリオと呼びます。聞き慣れない言葉かもしれませんが、自分にできることを言葉より先に見せてくれる1枚のページ、くらいに考えておけば大丈夫です。中身の作り方はポートフォリオってなに?で説明しています。
今ある経験は、準備のうちに棚卸ししておく
最後にもうひとつ。公務員として身につけた力は、準備の段階で言葉にしておくと後で活きます。
文書を正確にまとめる、決まりを踏まえて手順を組む、住民の方に分かるように説明する。日々の業務で当たり前にやっていることが、外に出ると強みとして見えてきます。これをAIの練習と組み合わせると、ただツールを触っている人より一歩進んだ準備になります。自分のどんな経験がどう活きそうかは、公務員のスキルが、副業でどう活きるかで整理しているので、あわせて見てみてください。
学習と報酬を分ける。公開情報だけで練習する。可否は自分と所属で確認する。成果は所属が分からない形でまとめておく。この4つの線を引いておけば、服務を守りながら、現役のうちにできる準備を落ち着いて進められます。焦って始める必要はありません。今のうちに腕を上げておけば、許可が下りた日も、退職を迎えた日も、そのまま動き出せます。