公務員AIキャリア準備室
公務員がAIに慣れる練習。公開情報と架空の題材だけで進める
職場の情報には触れない。それでも、練習できることはちゃんとあります。
AIを触ってみたい気持ちはある。でも、いざ画面を開くと、何を入力したらいいのか分からなくて手が止まる。仕事の資料を貼れば早いのは分かっているけれど、それは住民の情報や職場のデータだから使えない。題材を探しているうちに、今日も結局そのまま閉じてしまう。この迷いは、公務員でAIに慣れたい人がほぼ最初にぶつかる場所だと思います。
止まっている原因は、AIがむずかしいことではありません。練習に使ってよい材料の線引きが、自分の中ではっきりしていないことです。そこさえ決まれば、職場のものに一切触れなくても、練習できることはちゃんと残ります。使うのは公開情報と、自分で考えた架空の題材だけ。この二つだけに絞ると、安心して何度でも試せます。
最初にひとつ確認しておきます。公務員が副業をしてよいかどうかは、所属する役所の規程と、その許可によります。このサイトはその可否を判断しません。ここで紹介するのは収入を得る活動ではなく、退職後や許可が出たあとに備えて、今のうちにAIへ慣れておくための練習です。練習の段階でも、職場の情報を持ち出さないという線は変わりません。準備の入口でつまずく人は、先に公務員の副業準備で、最初に確認することに目を通しておくと、どこまでがセーフかの感覚がつかめます。
使ってよい材料は、公開情報と架空の題材だけ
練習の前に、材料を二種類だけに決めます。ひとつは、誰でも見られる公開情報。自治体の公式サイトに載っているお知らせ、公開されているニュース記事、各省庁が出している案内などです。もうひとつは、自分の頭の中で作った架空の題材。実在しないお店、実在しないイベント、架空の人物です。
逆に、使わないものもはっきりさせておきます。職場の内部資料、住民や利用者の個人情報、まだ公開されていない計画や数字。これらは練習であっても入力しません。
たとえるなら、料理の練習をするときに、お客さんに出す予定の食材ではなく、自分で買ってきた練習用の食材を使うのと同じです。本番の材料を練習で減らすわけにはいきません。だから別に用意する。AIの練習も、職場の材料は使わず、公開情報か架空の題材という練習用の食材だけでやります。この区別を最初に体に入れておくと、あとの練習で迷いません。
公開情報を要約して、要点をつかむ練習をする
最初のメニューは要約です。お住まいの自治体の公式サイトを開いて、公開されているお知らせをひとつ選びます。その本文をコピーして、AIに貼り付け、3行でまとめてと頼みます。
手元で起きることは、こうです。長いお知らせが、ぱっと3行に縮みます。日付、対象になる人、申し込み方法のような、伝えたい中心が短くなって見えてきます。慣れてきたら、頼み方を少しずつ変えてみます。3行を1行にしてみる。中学生にもわかる言葉でと添える。箇条書きにしてと指定する。同じ文章でも、頼み方しだいで返ってくる形が変わるのが分かります。
このとき、つまずきやすい点がひとつあります。AIが要約のついでに、元の文章になかった日付や数字を足してくることがあります。もっともらしく見えるので、つい信じてしまう。練習の段階から、元の文章にあった情報だけが残っているかを見るクセをつけておくと、本番で困りません。事実の確かめ方そのものはAIの答えをうのみにしない確認のコツで具体的に整理しています。要約は、AIの便利さと危うさを同時に体験できる、いい入口です。
ニュース記事を、やさしい言葉に言いかえる練習をする
次は言いかえです。公開されているニュース記事をひとつ選びます。少し読みにくい、専門用語の多い記事のほうが練習になります。その本文を貼って、中学生にもわかるように言いかえてと頼みます。
返ってくるのは、かみくだいた文章です。むずかしい単語が日常の言葉に置きかわって、内容が頭に入りやすくなります。これは、相手に合わせて説明する力の練習になります。役所の窓口で、制度の話を住民の方にやさしく伝える場面に近い感覚です。
ここで一歩進めるなら、相手を変えてみます。お年寄りに向けて、初めてその制度を知る人に向けて、と条件を足すと、同じ記事でも言葉づかいが変わります。現場では、説明する相手によって伝え方を変えていますよね。AIに相手を指定して言いかえさせると、その引き出しが増えていきます。言いかえた文章は、そのまま正解として使うのではなく、自分の言葉に直す下書きとして見るのがちょうどいい距離です。
架空のお店で、文章をゼロから作る練習をする
三つ目は、何もない状態から文章を作る練習です。実在しないお店を、自分で勝手に決めます。架空のパン屋さんでも、架空のカフェでもかまいません。お店の名前も、場所も、自分で考えた架空のものにします。そのうえで、このパン屋さんの紹介文を書いてと頼みます。
実在の社名や人名を使わないので、安心して何度でも試せます。場所を商店街の角に変える、看板商品をクロワッサンに変える、客層を子育て世代に変える。設定を少し変えるたびに、紹介文の雰囲気が変わります。文章をゼロから作る感覚と、設定しだいで仕上がりが動く感覚が、同時につかめます。
この練習が効くのは、頼み方の練習にもなるからです。ただ紹介文を書いてと頼んだときと、駅から徒歩5分、夕方に焼きたてが並ぶという架空の設定を添えたときとでは、返ってくる文章の濃さが変わります。条件を具体的に渡すほど、AIの答えは具体的になる。この感覚は、AIへの頼み方全般に効いてきます。もっと意図どおりに動かしたくなったら、調べもの仕事を、AIで時短するで、頼む作業を分けて渡す考え方を見ておくと役立ちます。
練習を続けるための、小さな約束ごと
メニューが分かっても、続かなければ力にはなりません。続けるための約束を、三つだけ決めておきます。
ひとつめは、材料の線を毎回守ること。公開情報か架空の題材だけ。職場のものは、練習でも入れない。これは慣れてきたときほど崩れやすいので、毎回の入口で思い出す習慣にします。
ふたつめは、AIの答えを完成品にしないこと。要約も、言いかえも、紹介文も、すべて下書きです。最後は自分の目で読んで、おかしいところを直す。この一手間を省かないことが、本番で安心して使える土台になります。
みっつめは、一日5分でいいから触ること。まとまった時間を取ろうとすると、かえって始められません。お知らせを1本だけ要約する。記事を1本だけ言いかえる。それで今日の練習はおしまい、で十分です。短くても、回数を重ねると頼み方の引き出しが増えていきます。
公開情報か、架空の題材だけを使う。職場のデータには触れない。AIの答えは下書きとして、最後に自分の目で確かめる。この三つを守れば、服務を守りながら、退職後や許可が出たあとに使える力を、今のうちから静かに貯めていけます。